筋肉の治療家がアトピーを考える②
なぜ、かゆいのか?を考える
アトピーは原因不明でありながらも、経験的に多様性な原因があるのではないかと、お話ししました。また、多様性であるアトピーは、腰痛や肩こりと似ているともお話ししました。
なぜ、かゆいのか?
なぜ、痛いのか?
これらのことに、共通点はあるのか?
考察を進めるために、今回は、人の基本的な感覚について考えてみましょう。
人の脳は他の動物と比較して大きい、という事はどなたもご存知でしょう。
では、どうして脳は大きくなったのでしょうか?
賢いからでしょうか?
それは、違います。
脳の大きさは、末端の神経の数に比例して決まっています。
末端の情報が、脳に集まって処理をされる。
ですから、体の大きい生き物であれば、末端の神経の数は多くなりますし、体の小さな生き物であれば、末端の神経の数は少なくなります。
ここに賢いという知的な話はありません。
『かゆみ』も『痛み』も末端の神経によって、脳に情報が送られ、情報処理をされて感じているのです。
最近まで、かゆみは痛みの弱い感覚として考えられていました。
なぜなら、同一の神経の興奮(C線維)や、痛みを感じない無痛症の方にはかゆみを感じないなど、かゆみと痛みには共通の事象があるからです。
その一方で、痛みを抑制するモルヒネは、かゆみを増強させる作用があると報告されていました。
この矛盾が、かゆみと痛みとは別の感覚ではないかとも考えられていました。
近年、この矛盾が解明されたのです!
かゆみの引き金として、心臓から分泌されるB型ナトリウム利尿ペプチド(NPPB)が関与していることが分かったのです。
B型ナトリウム利尿ペプチドは、腎臓が排泄するナトリウム量を調節することで、血圧を制御する働きを持っています。
この物質が、かゆみの引き金として作用していることが、マウスの実験で明らかにされたのです。
一方、痛みは、末梢の神経が炎症反応を感知して脳に伝え感じるものです。
炎症は、細胞が傷付いたときか、虚血(循環不全)になったときに発生します。
かゆみと痛みはまったく別の物質によって感じていますね。
かゆみや痛みを考えるにあたって、このことはとても重要な要素となります。
次回は、「なぜかゆみや痛みの感覚があるのか?」について考えてみたいと思います。
この情報が、アトピーや腰痛の方のお役に立てたなら幸いです。
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中村金雄
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