腰痛で来院された方の心を考える
来院される決意
来院行動をする人は、体(特に腰)に問題を感じており、解決したいと考えている。または、体(腰)に悩みを抱えており、解決を望んでいる。
はじめのうちは、問題や悩みに対し自身で、気を紛らわす、時が過ぎるのを待つ、別のことへ逃げる、回復手段を自己流で行うなど自分自身で何とか対処しようとする。しかし、何も効果が感じられないとき、他者を頼ることになる。
他者を頼る背景には、よくして欲しい、痛みや悩みを解決して欲しい、痛みや悩みから解放されたい、自分の体に起こっていることを知りたい、もう悩みたくない、悩みを知って欲しいなどの願望がある。
機械による検査機器と人による感覚検査の違い
日本で行われている医療保険では、映像機器による撮影が可能な疾患や、数値化して確認ができる疾患であれば対応できる。映像や数値という「誰が見ても分かる判断材料」がないと保険という制度を利用した医療行為はできない。そのため撮影できないものや数値化できない症状に関しては、対応できないことが多いと言える。
現代よりも以前の医療では、映像化や数値化する科学的検査が発達しておらず、施術者の知覚に頼る検査が主流だった。知覚による判断の一つが「触診」である。悩みを抱えている人の体に触れることで、病態を見抜き、症状に対応していたのである。人々の訴えに対し施術者は触診を繰り返し行い、症状に対する触知の経験を蓄積し、この経験の蓄積を口伝もしくは文言により次なる施術者へと伝えてきた。こうやって普遍的な事象が残り、人の歴史の中で伝え残ってきた「確かな経験」によるものが、現代よりも以前の医療なのである。
歴史の積み重ねで洗練された技術
では、触診で一体何を感じ取っていたのであろうか?ここを知るために腰痛で来院行動をした方について考える必要がある。
来院行動の引き金は「自身の体(腰)の異常反応」によるものと考えられる。今まで経験したことのない不調や痛みなどの不安を抱えたとき、その悩みから解放されたいと思うことだろう。この気持ちのきっかけである「自身の体(腰)の異常反応」こそ、来院行動と捉えられる。と、いうことは来院された方を触診した際に感じ取るべき体の反応は「体の異常反応」と言える。
私は、問診、視診、運動検査、触診により「体の異常反応」を知覚し、施術による改善を促していきます。